暮らしの読み物|人生と暮らし|第15号
喧嘩する相手がいるという幸せ。
― ひとり老後を考えて、母の言葉を思い出しました ―
最近、熟年離婚が増えているというニュースを目にしました。
長年連れ添った夫婦が、年齢を重ねてから別々の人生を歩み始める。仕事や子育てに追われていたころとは違い、夫婦で過ごす時間が増えると、ちょっとしたことが気になり、小言も増えてしまう。そんな内容でございました。
時間はたっぷりある。その分、相手への不満もたっぷりある。何とも皮肉なことでございます。
けれども、わたくしは、最近のある出来事を思い出しました。
父が突然、緊急入院いたしました
夏のことです。鹿児島に暮らす父が、突然、緊急入院いたしました。
高熱が数日続き、下痢や嘔吐もひどく、わずか数日で体重が5キロも減ってしまったのです。父自身も、「いよいよお迎えが来たか・・・」と思ったそうでございます。
知らせを受けたわたくしは、仕事を後にして、幼稚園に通う子ども二人を連れて、福岡から鹿児島へ高速道路を走らせました。
万が一のことがあってはいけない。父に孫の顔を見せて、生きる元気や希望を与えなければ・・・。
幸い、詳しい検査の結果は腸炎でした。直前に食べた魚の刺身が原因だったようです。数日間の点滴を受け、薬を飲み、無事に退院することができました。
けれども、父の入院中、母がぽつりと漏らした言葉が、今も心に残っております。
「喧嘩する相手がいないと寂しい・・・」
「お父さんはダメかもしれない……」
その時の母は、本当に不安そうでした。
実は、わたくしの両親は、普段からよく口喧嘩をする夫婦でございます。ちょっとした意見の違いでも、お互い一歩も譲らない。もちろん、手を上げるようなことはございません。年齢を重ねるたびに口だけは、二人とも実に達者なのでございます。
そんな母が、こんなことを言ったのです。
「普段はやかましくて、面倒なお父さんだけど、喧嘩する相手がいないと寂しいわね」
そして、こう続けました。
「こんなことなら、喧嘩をしている方がいいわね」
・・・・・
わたくしは、その言葉を聞いて、夫婦というものを少し理解できたような気がしたのです。
毎日一緒にいれば、相手の嫌なところも目につきます。言わなくてもよいことまで言ってしまう。それでも、いなくなって欲しいというわけではない。
小言をいいあう腹の立つ相手でも、いなくなってほしいわけではなかった。
もちろん、すべての夫婦が同じではございません。離れて暮らすことで穏やかになれる方もいらっしゃるでしょう。けれども、わたくしの母にとっては、口喧嘩をする父も、かけがえのない存在だったのでございます。
子どもには、子どもの人生がございます
わたくしには、4人の子どもがおります。いつか子どもたちも大きくなり、それぞれの人生を歩んでいきます。
親としては、できれば近くにいてほしい。困ったときには助けてもらえたらありがたい。けれども、忘れてはいけないことがございます。
それは、子どもは、親の老後を支えるためだけに、生まれてきたわけではないということ。
子どもには、子どもの人生がある。親もまた、自分の暮らしや人とのつながりを大切にして生きていかなればなりません。
もっとも、何日も連絡がなければ、こちらから電話をかけてしまうかもしれません。そして「特に用事はないんだけどね」と言っているかもしれません。
親というものは、なかなか困った生き物でございます。
ひとりの時間にも、幸せはある
ひとり暮らしには、自分のペースで過ごせる自由がございます。好きな時間に起き、好きなものを食べ、誰にも遠慮せずに趣味を楽しむ。考えてみれば、なかなか贅沢な暮らしではございます。
もちろん、病気や介護、お金のことなど、備えておきたいことはあります。また困ったときに頼れる人や場所を持っておくことも、大切です。
一方で、家族がいるから寂しくないとは限らない。お一人様で、ひとりで暮らしているから、不幸とも限らない。
誰かと過ごす幸せもあれば、お一人様だからこそ味わえる楽しみもあるのです。
小言を言い合える、今日という日
父が入院したとき、母は、この世の終わりかと思わせるくらい心配しておりました。普段は口喧嘩の絶えない二人なのに、父がいなくなるかもしれないと思った途端、「喧嘩する相手がいないと寂しい・・・」と言ったのです。
いつでも会えると思っているうちは、なかなか会いに行かない。いつでも話せると思っているうちは、大切な言葉を後回しにしてしまう。
<br>けれども、いつまでも続くと思っていた毎日が、突然変わってしまうこともあるのです。
毎日のように小言を言い合える。それも、相手が元気でいてくれるからこそです。そんな当たり前に思える毎日が、実は、かけがえのない幸せなのかもしれません。物質的な豊かさだけが幸せとは限らないのです。
・・・・・
父も無事に退院できたことですし、両親には、これからも元気で長生きしてほしいものでございます。そして、できれば夫婦仲よく。
わたくしどもには『百歳元気 日本山人参ゴールド』という商品がございます。これ一筋に十年以上、時間をかけて育ててきた商品でございます。健康でいたい、そう願う方に、百歳まで元気に暮らしていただきたい。そんな願いを込めた商品でございます。
もちろん、飲めば百歳まで生きられるというお約束はできません。何しろ、わたくし自身、まだ百歳になったことがございませんので…。
長く生きることも大切です。ですが、誰と、どんな時間を過ごすか。それもまた、大切だと思うのでございます。
そして、いつか自分が年老いたとき。
「喧嘩する相手がいてくれて、よかった」
そんなふうに思える余生であれば、あたたかい人生なのかもしれません。
生薬工房 代表 有留 隆幸