株式会社生薬工房|健康の基礎知識
高血圧性網膜症
の基礎知識
血圧は、目の奥の小さな血管にも関係しています。
大切な「見る力」を守るために、一緒に学んでみませんか。
網膜とは、どんなところでしょうか
目の奥には「網膜(もうまく)」という、光を感じ取る薄い膜があります。カメラにたとえると、景色を写し取る大切な部分です。
網膜には、とても細い血管がたくさん通っています。その血管の状態は、目の健康だけでなく、全身の血管の状態を知る手がかりにもなります。
高血圧性網膜症とは、何でしょうか
血圧が高い状態が続くと、目の奥の細い血管にも負担がかかります。血管が狭くなったり、血液が漏れたり、網膜に出血やむくみが起きたりすることがあります。
このように、高血圧によって網膜の血管や組織に変化が起こる状態を、高血圧性網膜症といいます。
血管の細さや硬さなどの変化を含め、眼底検査では「高血圧性眼底変化」として評価されることもあります。
なぜ、血圧が目に関係するのでしょうか
心臓から送り出された血液は、目の奥の細い血管にも流れています。
高い圧力が長くかかると、細い血管の壁に負担がかかり、血液の流れや血管の働きに影響が出ることがあります。
高血圧は、頭や心臓だけでなく、目の奥の血管にも影響することがあるのです。
どんな症状が現れるのでしょうか
初期には、自分では気づく症状がほとんどないことがあります。見え方が普段と変わらなくても、眼底検査で変化が見つかる場合があります。
重くなると、視界がかすむ、見えにくい、視力が落ちるなどの症状が出ることがあります。
ただし、見えにくさの原因は白内障や緑内障、網膜の別の病気などさまざまです。症状だけで高血圧性網膜症と決めつけることはできません。
症状がなくても、検査は必要でしょうか
はい。高血圧性網膜症は、症状がないまま進む場合があります。
眼科で行う「眼底検査」は、目の奥の血管や網膜の状態を調べる検査です。必要に応じて、眼底写真やOCT(網膜の断面を調べる検査)などを行うこともあります。
高血圧で治療中の方は、眼科検査が必要かどうかを主治医に相談しましょう。検査の間隔は血圧の状態や眼底所見によって異なります。
眼底検査では、何がわかるのでしょうか
医師は、網膜の血管が細くなっていないか、血管の交差する部分に変化がないか、出血や白っぽい斑点、むくみがないかなどを確認します。
重症の場合には、視神経の出口にあたる「視神経乳頭」が腫れることもあります。
眼底の変化だけで高血圧の重症度や原因がすべてわかるわけではありません。血圧測定や全身の診察と合わせて判断します。
こんな見え方の変化は、早めに相談を
急に見えにくくなった、視界の一部が欠けた、片方の目が突然見えなくなった場合は、高血圧性網膜症以外にも、緊急の治療が必要な病気が隠れている可能性があります。
突然の視力低下や視野の異常が起きた場合は、すぐに救急医療機関へ相談してください。顔や手足の麻痺、言葉の出にくさ、激しい頭痛などを伴う場合は119番へ連絡してください。
症状が一時的に治まっても、自己判断で様子を見ないことが大切です。
高血圧性網膜症は、治るのでしょうか
血圧を適切に管理することで、出血やむくみなどの変化が改善する場合があります。
一方で、血管の変化や視力への影響が残ることもあります。改善の程度は、病気の重さや経過、ほかの目の病気の有無などによって異なります。
早く気づき、血圧を管理し、必要な検査を続けることが大切です。
治療は、どのように行うのでしょうか
治療の基本は、高くなった血圧を適切に管理することです。医師が体調や持病などを確認し、生活習慣の改善や降圧薬による治療を考えます。
目に出血やむくみなどがある場合は、眼科医が状態を詳しく調べ、必要な対応を判断します。
血圧の薬を自己判断で中止したり、急に増減したりしないでください。急激な血圧上昇と臓器障害が疑われる場合は、緊急の診察や治療が必要です。
糖尿病網膜症とは、どう違うのでしょうか
糖尿病でも、網膜の細い血管が傷むことがあります。こちらは「糖尿病網膜症」と呼ばれます。
高血圧性網膜症は主に高血圧、糖尿病網膜症は主に糖尿病と関係する病気です。ただし、両方を併せ持つ方もいます。
高血圧と糖尿病の両方がある場合は、血圧と血糖の管理、そして必要な眼科検査が重要になります。
日常生活で、気をつけたいこと
家庭でも血圧を測り、朝と晩の数値を記録しましょう。医師から薬を処方されている方は、指示どおりに続けてください。
塩分を控える、禁煙する、体調に合わせて体を動かすなど、無理なく続けられる生活習慣も大切です。
目の検査だけでなく、血圧を管理することが、目と全身の健康を守ることにつながります。
ご家族にも知っていただきたいこと
「見えているから大丈夫」とは限りません。目の奥の変化は、本人が気づかないうちに進むことがあります。
ご家族が高血圧で治療を受けている場合は、血圧の記録や通院、眼科受診について、無理のない範囲で声をかけてみてください。
見え方が急に変わったときは、年齢のせいと決めつけず、速やかに医療機関へ相談しましょう。
大切な「見る力」を守るために
新聞を読むこと。家族の顔を見ること。好きな景色を楽しむこと。
毎日の何気ない喜びを支えているのが、私たちの目の働きです。
症状がないときから血圧を大切にすること。そして、必要な検査を受けること。これからも安心して暮らしていくために、できることから始めてみませんか。
安心して学んでいただくために
このページは、高血圧性網膜症についての一般的な健康情報です。診断や治療に代わるものではありません。
検査結果が気になる方、見え方に異常がある方、治療中の方は、自己判断せず医師などの医療専門職にご相談ください。
